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ヒョウは大型ネコ科の中で、世界中に最も広範囲に分布していると言われています(Bailey 1993, Nowell & Jackson 1996)。ヒョウは単独行動する傾向にあり、昼間は人目のつかないところにいて、夜に狩りに出る習性があるため、直接観察による研究が進んできませんでした。そのため、ケニアさらにはアフリカ全土における、野生のヒョウの生息数は想像の域を超えません。しかしながら、その目撃数や家畜への被害件数から推測して、現在のところアフリカヒョウ(P.p pardus)の生息数は危機的ではないとされ準絶滅危惧に指定されています。


ヒョウ(Panthera pardus)は、哺乳鋼(Mammalia) 食肉目(Carnivora) ネコ科(Felidae) ヒョウ属(Panthera)に属する動物です。ワシントン条約においてはCITESの附属書 Iに指定されているため、取引に際しては輸入国の輸入許可及び輸出国の輸出許可を必要とすることと定められています。また、国際自然保護連合(IUCN)が定めるレッド・リスト(IUCN 2016)では、ヒョウ(Pantehra pardus)は、絶滅危惧II類(VULNERABLE)に指定されています。


ヒョウをさらに細かく亜種のレベルでみてみると、私たちが保全の対象としているケニアに生息しているヒョウは、アフリカヒョウ(P.p pardus)といって準絶滅危惧種に指定されています。近縁種のアムールヒョウ(P.p orientalis)、ジャワヒョウ(P.p melas)、アラビアヒョウ (P.p nimr)がより絶滅危惧度の高い絶滅危惧IA類で深刻な危機、ペルシャヒョウ(P.p saxicolor)とスリランカヒョウ(P.p kotiya)が絶滅危惧IB類の危機に瀕しているといわれています。(https://www.iucnredlist.org/species/15954/163991139)


「最近絶滅したか、絶滅危惧種の近縁種」は絶滅しやすい(Primack 1997)という報告もあり、アフリカヒョウは保全が必要な亜種であるといます。1988年に、野生のヒョウは世界中に約700,000頭生息していたともいわれていますが、その数は年々減少しています(Martin & de Meulenaar 1988)。野生のヒョウの多くは自然保護区の外に生息しているといわれています。また、ヒョウは人に気づかれることなく家畜を襲うことができる性質から、害獣としてもっとも問題のある種だとされており(Inskip & Zimmermann 2009)、人との競合をどう減らしていくかが、ヒョウの保全において最重要課題であると考えています。
アフリカのサバンナでよく間違えられるのがチーターとヒョウです。どちらがヒョウかわかりますか?
正解は、①チーター、②ヒョウです。
チーターは顔にティアマークといって、目から口元にかけて黒い線があります。そして体の模様は大小の黒斑ですが、ヒョウの体の模様は梅花模様といって、梅の花が咲いたような模様になっています。サバンナを速いスピードで駆け抜けるチーターは頭が小さく体も風の抵抗を少なくするようになっていますが、ヒョウは筋肉隆々でチーターと比べると力強い感じです。そして、チーターの足は犬の足によく似ています。ネコのように爪をかくすことはできません。一方でヒョウはネコの足を大きくしたような形状になっています。一般的に前脚のほうが若干大きくなっています。

  アフリカ大陸の東、赤道直下に位置しています。
首都:ナイロビ
面積: 580,367 km2
人口: 47,564,300 (2019)

国土の約8%が国立公園など保護区に指定されています。
野生動物の60%以上が保護区外に生息していると言われています。



ケニアの中にいくつかの地域で調査・研究、保全活動を実施しています。地図上のヒョウのマークが、それぞれの調査地場所です。 茶色のヒョウの地域ではGPSを装着しています。

ヒョウをはじめとしたケニアの野生動物を、 地域の人々と共に持続的に保全していくことが、わたしたちの活動の目的です。



最初の調査地ナイロビでは、捕獲したヒョウにGPSを装着、住宅街を利用していると言われるヒョウが、どのような行動圏をもち、どのように人々の生活圏とオーバーラップしているのか調査をすすめてきました。 また、餌を、家畜を襲うことに依存しているのではないかという住民の声がありましたが、調査の結果、70%以上が野生動物由来であることがわかりました。



ナイロビのビル群を背景に野生動物たちは、常に変化する環境に適応しながら生息し続けています。写真はセグロジャッカルのカップル。 使用済みのシロアリ塚などをさらに地下深く掘って巣をつくり、子育てをします。


国立公園のすぐ外にある住宅街。 広い敷地に一軒家があり、多くの緑が残っています。この地域をヒョウ、ライオン、ハイエナをはじめ、多くの野生動物が生息しています。












地域の人々と共に、野生動物保全に取組む地球環境基金の助成を受けて、ケニア共和国ナロック県ゴイラレ地区で活動しています。家畜被害が増加する一方で 家畜の数が増加することで、野生動物の生息地が減少しないように、地域の人々と一緒に活動しています。




活動地の風景
たくさんの野生動物が生息しており、多様性の高い地域です。マサイの人々も共に生活しており、海外の観光客を受け入れるホテルなどがあります。


ヒョウの行動圏を明らかにし、人との生活の場の共有について調査するために、ヒョウを捕獲してGPSの装着を試みています。

写真は一緒に調査をしているケニア人スタッフとともに、ヒョウの捕獲のための箱罠を設置しているところです。





牧畜民が牧畜を主な生業としている地域です。 現在は、人口密度は低く、多くの野生動物が生息しています。観光地ではないので、野生動物は地域の人々にとっては、直接的な収入源とはならないので、どのように野生動物を地域住民と共に保全していくのかが、今後の課題です。

写真はハイラックス類。 ヒョウの餌にもなっています。ゾウに近縁といわれる動物で、大きさは家ネコぐらいです。愛嬌があります。岩場を好み、集団で生活しています。









フィールドに仕掛けたカメラトラップがとらえたヒョウの画像。この地域は野生動物の調査が今まで実施されていなかったため、 カメラを用いて、ヒョウを撮影し個体識別することで、個体数の推定を試みている段階です。これから調査をして、いろんなことが明らかになっていくのが楽しみです。

人間とヒョウは、もっと仲良くなれる。

「ヒョウ」って知ってる?
「ヒョウ」っていなくなってもいい?

アフリカのケニアで、
「ヒョウ」も「人間」も困っています。

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